救急で働いていると、たまに耳にするJPTEC…
「JPTECとは何ぞや?」
「どんなメリット・デメリットがあるの?」
「看護師も受けた方が良いの?」
このような疑問がある方に向けてJPTECとはどのような研修で、どのようなメリット・デメリットがあるのか…
看護師が受けるメリットはあるのか…など実際に受講した経験をもとに解説していきます!
コースを受講した経験をもとにどのような研修か、メリット・デメリットを解説します!
JPTECとは
JPTECとはJPTEC協議会が開催する教育コースのことです
JPTEC協議会のHPを参照すると以下のように説明されています
プロバイダーコースの到達目標は、病院前救急医療の現場におけるロード&ゴーの概念を理解し、各段階において必要とされる観察・処置を見落としなく迅速に実施できるようになることです。コースは、座学、実技、実技達成度評価および筆記試験で構成されます。具体的には、本コースを受講することにより、我が国における外傷死亡の実態や外傷診療システム、防ぎえた外傷死(Prevetable Trauma Death:PTD)の概念、ロード&ゴーの概念を理解し、外傷現場において適切かつ迅速な観察、ロード&ゴー適応の判断、生命危機に関わる外傷の処置を正しく実施できるようになること、さらに傷病者の重症度と緊急度の違いを理解し、傷病者に応じた観察・処置と医療機関の選定、適切かつ迅速な搬送ができるようになることをめざします
長いので簡単にまとめると、「外傷に対して重症度・緊急度を正しく判断し、適切な処置を施して、適切な病院に搬送して外傷死を防ごう」というもの!
JPTECとは、病院前における外傷に対する知識を技術を学び、外傷死を防ごうというもの!
主には救急隊の方が受講するコースかと思いますが看護師も受講している人はいます!
以下では、コースの概要やメリット・デメリットを解説します!
受講資格
続いては受講資格についてです
JPTEC協議会のHPによると
- 消防吏員
- 消防吏員以外の救命救急士
- 医師
- 歯科医師(救命救急センター又は救急病院の救急部門に所属する者に限る)
- 看護師及び准看護師
- 診療放射線技師、臨床検査技師及び薬剤師で、労災医療派遣業務に従事するもの
- 警察官、海上保安官及び陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の自衛官で救急業務、救助業務又は災害医療派遣業務に従事するもの
- 救急救命士法第34条第1号から第3号までの規定に基づき救命救急士の受験資格を得ることができる学校若しくは救急救命士養成所、大学医学部又は看護学部及び看護学校(准看護学校を含む)の学生又は生徒で最終学年に属するもの
やはり受講の主な対象は消防隊員ですが、ドクターヘリやドクターカーなど病院前の現場で活動する看護師は受講をおすすめします!
コース概要
続いてコースの概要を説明します!
コースプログラム
HPを参照したコースプログラムの一例です
時間 | 内容 |
---|---|
8:30~ | 受付 |
9:00~ | 開会・オリエンテーション 開会挨拶 コース内容・施設利用説明 |
9:10~ | 講義とデモンストレーション |
10:10~ | ユニバーサルブース |
11:20~ | スキルステーション1 |
12:10~ | スキルステーション2 |
13:30~ | スキルステーション3 |
14:15~ | スキルステーション4 |
15:00~ | シナリオステーション |
16:15~ | 試験(前半) |
17:10~ | 試験(後半) |
18:10~ | 修了式・講評 |
18:30 | 解散 |
スキルステーションを順に周って各実技を学んでいき、シナリオステーションにて学んだ実技を通して行うというイメージです!
コースの内容について
コースは主に座学の学習内容と実技の学習内容に分かれます
またJPTEC協議会のHPによると、
座学の一部をJPTECプロバイダーコースe-learningに置き換えて実施することがある
コースの総時間は7時間以上、ただし座学の一部をe-learningとする場合の総時間は6時間以上となる
複数実にわたって行われるコースもある
上記のように記載されており、各都道府県の開催母体によって違いがあるのかもしれません
以下、座学の学習内容です
- 外傷総論、外傷疫学、JPTECに概念、外傷システム
- 観察処理総論、外傷傷病者の観察処置の流れ、デモンストレーションと解説
- 観察処置各論、状況評価、初期評価、全身観察、局所観察、詳細観察、継続観察
以下、実技の学習内容です
- 観察要領、初期評価~全身観察~詳細・継続観察
- 気道管理
- ヘルメット離脱
- 頸椎カラーの装着
- ログロール
- (腹臥位からの)体位変換
- バックボード固定
- 緊急処置、フレイルチェスト、開放性気胸、腸管脱出、穿通性異物、骨盤骨折、止血
試験について
プロバイダーコースには試験があります
75%以上の正解でプロバイダー認定基準を満たします
事前学習の際には、JPTECガイドブック及び各コースの運営部から届く「プレテスト」に目を通すようにと注意喚起されています
筆記試験に関しては、ガイドブックで勉強しつつプレテストの内容を理解することで、合格できると思います!
実技試験に関してです
実技試験はないんですが、実技達成度評価というスキルチェックがコース中に行われているそうです
JP協議会のHPには、以下のように記載があります
各スキルはコース中にできるようになります(それがコースの到達目標です)のでご安心ください
このように記載してあり、各スキルができるようになるのが到達目標であるのは、そうだと思うんですが、コース中に短時間にできるようになるかは別問題です
実体験からいうと、コースだけの学習では、できるようになるのは難しいと思います
正直なところ、周りの受講生も、かなりの練習を重ねて本番に挑んでいるが伝わってきます(主に救急隊の方)
なので、練習していないと、「この人練習あまりしていないな」って感じでバレます💦
受講するメリット・デメリット
続いて受講するメリット・デメリットについてです
これについては看護師の目線なので、救急隊の方など他職種のかたの参考になるかはわかりません💦
あくまでも参考までに!
メリット
このコースの最大の目標が外傷死をなくすことなので、当然外傷に対する知識・技術を身につけることができます
またこのコースはJATEC、JNTECとの整合性があるので医師、看護師と共通認識を持って外傷患者に対応することができるようになると思います
JNTECについて別記事で、どのようなセミナーなのか、メリット・デメリットを含めて解説していますので参考にしてみてください!
このコースは病院前での活動を対象としているので、病院前の活動を理解できるのもメリットです
看護師は、救急車が病院に到着したところからの対応になりますが、このコースでは救急隊の方が、病院前でどのような活動をしているのか学ぶことができます
救急隊が病院前でどのような活動をしているのか理解したい!という看護師は受講をおすすめします!
受講するメリットをまとめると以下です
- 外傷に対する知識・技術を身につけることができる
- JATEC,JNTECと整合性があり医師・看護師と共通認識をもつことができる
- 病院前の活動を理解することができる
デメリット
続いてはデメリットです
当然なんですが事前学習が必要です
筆記対策はテキストでの学習で十分ですが、実技の練習はしっかりと行ってから本番に挑むのが無難かと思います
看護師が受講する場合は、やや優しく評価してくれる?のか、受講自体が楽しかってですよって声も耳にはします
しかし、僕は消防署に出向き、救急隊の方たちと一緒に練習していました!
今ではそこまでして練習をする必要はないかもしれませんが、練習はしっかり行う必要はあります!
またコース本番は消防隊員さんたちばかりなので看護師はアウェー感がすごくあります💦笑
- それなりの全然学習は必要
- 看護師はアウェー感あり
看護師は受講したほうが良いのか?
正直な意見としては「人による」と思います
ドクターヘリやドクターカーに興味がる、これから病院前の活動をするという方には受講するメリットが大きいと思います
実際の現場で活動するのは消防隊さんたちであり、看護師が現場で活動することはありません
ヘリやカーでの看護師の活動は現場で救出など含め初期対応が行われた後に行います
なので、JPTECで学んだ知識・技術を直接現場で活かす機会があるかというと正直少ないと思います
しかし、ヘリやカーで病院前に看護師が行く場合、どのような状況で、どういう処置を行ったなどに、共通認識を持てる知識・技術は現場でコミュニケーションを支える一つです!
うちの病院に限った話ですが、ヘリに乗りたいと思った看護師は受講しています!
ですので、ヘリやカーなど病院前の活動に興味がある、消防隊員などの現場での活動を理解したいという方には受講をおすすめできます!
受講する際に気をつけておきたいこと
受講する際に気をつけておきたいことがあります
JNTEC同様ですが、事前学習は必ずやっておくことです
コースは実技ベースで行われるので、事前学習をしておかないと理解できないです
実技をコースだけでは覚えることができず、惨めな思いをする可能性が大きいです
JPTEC協議会のHPには、「実技試験はないが、実技達成度評価というスキルのチェックをコース中に行っている。各スキルはコース中にできるようになります。(それがコースの到達目標です)のでご安心ください」と記載があります
しかし実体験上、コース本番だけで、知識・技術を身に着けるのは正直ムリです
なので、事前学習はしっかりと行った上で受講することをおすすめします!
難易度・合格率
失格させるための試験ではないので、比較的合格率は高いとはされています
実際僕も失格になっている方は見たことがありません
しかし、「なんとか合格できた」、と「ちゃんと理解して合格した」は個人的には違うように思います
このページをみている方は興味がある方だと思うので、受けるならちゃんと理解して合格するほうが良いのかなと思います
ちゃんと理解して合格を目指すのであれば、正直簡単なコースではないです
それなりの学習時間、練習時間が必要になります
理解という意味では、看護師は病院前での活動に馴染みがないので、イメージして理解するのに時間がかかると思います
まとめ
JPTECとは、どのようなコースで、どのようなメリット・デメリットがあるのか解説してきました
このコースは病院前での活動に焦点当てたもので、主には消防隊員に向けたコースかと思います
なので、看護師が受けるメリットはないかというとそうではなく、病院前での活動に興味がある方や、ドクターヘリやカーに興味がある、今後乗る予定の方などは受講すべきものかと思います!
コースの知識・技術を習得するのは事前学習もそれなり時間が必要であり、勉強・練習は大変でしたが、受講してよかったと思えるコースです
今では、このコースの知識・技術があるからこそ、消防隊員の方たちと上手くコミュニケーションが取れ、現場活動に活かすことができているなと実感しています!
なので、興味がるかたはぜひ受講してみてください!
以上、何か参考になるものがあれば幸いです!